おもいおもい

仕事のこと、家族のこと、気付いたことなどをおもいおもいに綴ります。

「誰が悪いのか」という事を確認する作業には何の価値も無い

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 出社すると、また上司が騒いでいた。不要になったデータの削除を指示したにも関わらず、それが行われていなかったという。更にはそれが他部署の指摘で発覚したらしい。騒いでいるのは他部署に対するポーズもあるようだ。

 私が直接関わるものではないので、あえて口を挟む事はしなかった。しかし、上司はたしか「保留」と言っていたハズだった。正確には「消しても構わないんだけど、念のため関係部署にも確認するので待ってください。」と言っていた。私は上司のこういった慎重さは嫌いではないのだが、保留にした後一向に指示が出されない仕事の遅さには辟易としていたので『またか…』と思った記憶がある。

 騒ぎの渦中に居る部下も『またか…』と思っているのだろう。やや口をへの字にして反論している。「そういった指示は受けておりません。」「一旦保留とおっしゃっていました。」言われた上司は顔を真っ赤にして一段と大きな声でまくし立てる。「それは私の指示をちゃんと聞いていないあなたの問題です。」「私の指示が理解出来ないのならその時点で確認してください。」「この部分の業務知識少し弱いかもしれませんね。勉強してください。」頭に血が上った上司はもはや“業務をいかに進めるか”ではなく、“どちらの言い分が正しいか”という事しか見えていない様だった。“部下を叱る上司”というポーズを他部署に取ろうとした結果、“部下に反論される上司”という醜態を晒すハメになってしまったのだから、上司の心中も穏やかでは無いだろう。まぁ、これもまたいつもの風景なのでさほど気にする事でもない。まだ暫く不毛なやり取りが続きそうだったので私は「他部署とのミーティングに行く」と言い残してその場を立ち去った。

 今回の件で言えば、証拠も何も無い、いわゆる【言った言わない】の話でしかない。そんな事よりも他に考える事があるだろう。今回発生した問題にきちんとフォーカスすべきだ。

  • 消さなければいけないデータが消されていなかった。
  • 上司の指示が部下に伝わっていなかった。
  • 他部署の指摘を受けるまでデータの状態を確認する人がいなかった。

 これらについてまず(1)今なにをすべきか。(2)今後どうすべきか。を話し合う必要がある。「誰が悪いのか」ではなく「何が問題なのか」に注目する方がよっぽど有効な時間の使い方ができる。

  例えば前述の「・上司の指示が部下に伝わっていなかった」という件について、誰が悪いかという点に注目しても両者(ここでは上司と部下)の意見は平行線だ。

  • 上司は「指示を出した」と言っているがその記録は無い。
  • 部下は「指示はなかった」と言っているがその記録は無い。
  • 上司も部下もデータを削除する必要性は認識していたが、双方確認はしていない。

  客観的に見ればどちもどっちじゃないかと思う。当事者同士にしてみても、「自分に全く非がないとは言えないが、どちらかと言えば相手の方が悪い」としか思えないだろう。そして、限られた時間の中で成果を発揮しなければならない組織の中で、こんな事に時間を使う事こそ愚の骨頂だと私は思う。繰り返しになるが同じ時間を使うなら問題解決に時間を使うべきだ。

  • 上司はどういった指示の出し方をすべきか。
  • 部下からの実施(完了)報告は必要か。必要であればどういった手段で行うべきか。
  • 上司が判断を保留した場合、部下からのリマインドは必要か。
  • 今後のデータ削除も、そのつど上司の指示に基づいて行うのか。定型業務としてルーチン化してはどうか。

 ざっと思いつくだけでもこれだけある。そしてこのうちのいくつかを検討するだけでも、今回と同様の事故はいくらか減らせるだろう。

 他部署同士であれば「責任の所在を明確にする」という作業が必要になる場面もある。しかし、上司と部下いう関係の中で責任の所在を明確にすることはそれほど重要ではない。上司は部下の仕事も含めて責任を取るべきだし、上に立つ者が「部下が悪い」という前提に立って言葉を発してはいけない。

 そういう視点で部下をマネジメントをしている限り、チームの生産性が向上する事はない。

 

他人を攻撃せずにはいられない人 (PHP新書)