おもいおもい

仕事のこと、家族のこと、気付いたことなどをおもいおもいに綴ります。

ルールを作る人・破る人・壊す人

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ルールを作る人

管理系の部署の仕事として「各種規程の整備・運用」というのがある。平たく言うと「会社のルールを決めて、それをみんなに守ってもらう」というものだ。厳しすぎると社員のモチベーションが下がるし、緩すぎると好き勝手されてしまう。バランスがとても重要だ。従業員が納得してルールに従って貰えるよう、策定時にはとても神経を使う。

そうやって神経をすり減らして我々が作った規程だが、時としてそれを破ろうとする人間が現れる。我々内部管理系社員の敵だ。敵といっても様々で、いわゆるザコキャラからボスキャラまでバリエーションは実に多彩だ。ここでそのほんの一部を紹介したい。

ルールを破る人 

まず比較的対処しやすいのは無知な一般社員である。彼らは規程について何も知らない。存在は知っていても読もうとさえしない。ドラクエで言えば「装備する」をしていない状態だ。ルールを知らないのだから我々の敵ではない。「規程に無いのでダメです」の一言で対処できる。ちょろい。瞬殺である。

それより少しレベルが上がると、規程を読んで理解した上で戦いを挑んでくる。彼らは規程の文言を読み、そこに“独自の解釈を加える”事で自分の武器にしようと重箱の隅をつついてくる。「県外転勤の場合は赴任費が5万円上乗せですよね?私、住民票が県外なので、今回の異動は県外への赴任に該当すると思うんですけど。」などと「一般常識ではどう考えてもありえないが、規程を読めばそう読めなくも無い」という箇所をピンポイントで攻撃してくる。しかし彼らは知らない。彼らの攻撃をかわすべく、我々が密かに仕掛けた罠がある事を。

彼らの多くは基本的に目的の条文しか読まないし、その一行にしか言及してこない。前項で我々が固めた「前提条件」に気付いていない。「住所とは、現在就業場所へ通勤する為に住居を構えている場所をいう」と書かれたこの前項で条文の拡大解釈を防いでいるのだ。ふふ、また我々の勝利だな。出直してこい。

 意外と強敵なのが社長である。実は社長は会社のルールを知らない事が多い。規程なんてのは従業員を縛るためのものであって、社長である自分には関係ない。と思っている。ふらっとレシートを持ってきて接待費をよこせなどと平気でのたまう。「事前申請が無いとダメですよー。」とやんわり断ると一旦は引き下がるのだが、次の瞬間私の目を盗んで私の上司にお願いに行く。まさに警察における「現場が言う事を聞かないなら上層部から圧力を掛ける」方式である。権力によってルールを捻じ曲げようというシンプルかつ効果的な方法だ。しかし残念ながらうちの社長はそれほど権力を持っていない。そして私の上司は他人にはもの凄く厳しい。相手が例え社長であっても容赦はしない。私と全く同じフレーズを無表情に繰り返した。「事前申請が無いとダメです。」私と上司の素晴らしいチームワークによってボスキャラである社長も退ける事が出来た。素晴らしい。完全勝利だ。

 

しかし私は知らなかった。本当の敵は他にいるという事を…。

 

ルールを壊す人

社長を退けた勝利に酔いしれている私のもとに上司がやってきた。上司は一枚の紙切れを私に渡してこう言った。「この書類、保管しておいて。」そこにあったのは、見たことも無い企業との契約書。しかも契約は既に締結済みになっている。本来、契約書が必要になるような『重要な契約』は、事前に会社の承認を得無ければならない。しかしこんな名前の企業は事前の申請では見た事がない。何故こんな高額なコンサルティング料を払う必要があるんだ?これはヤバイ。絶対に受取ってはならない奴だ。額から一気に汗が噴き出す。私は恐る恐る上司に確認した。「あの…、この契約の事前申請は…?」

上司はちらりと私を見てこう言った。「先月の役員会で規程の変更がなされた事に《しておいた》から大丈夫。この類の契約の事前申請は今後は不要になった。新しい規程は出来たら渡すから。」そう言い残すと上司は夜の街に消えていった。

本当に強いボスキャラはルールなど簡単に上書きしてしまう。そして私は上書きされたルールを守らせる為にまた目の前の敵と対峙していくのだ。

 

「規程に書いてあるのでダメです。キ程にカイテあルノでだメデス。キテイニカイテ…」

 

 まとめ

このエントリは何やら上司がコソコソ規程を変更しようとしている雰囲気を察知して「またかよ…。」という気持ちで書きなぐりました。厳密に言うと上司のはルールを破壊しているのではなく、自分の都合のいいように書き換えているだけなんですけどね。正しい手順に則ってさえいれば全く問題のない行為。極めてクリーンなやり方です。

でも思うんですよね。ルールを作る側の人間が、自分だけに都合のいいようにルールを変え始めたらおしまいなんじゃないかって。私を含め、気付く人は気付きますからね。

 

ワーク・ルールズ!―君の生き方とリーダーシップを変える

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